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2016年3月 3日 (木)

【伝わる朗読とは】13:山田太一さんからのメッセージ(コンクール講評にて)

週1回は更新しようと思っています。このペースでは、毎週木曜更新ですね。
今回は、朗読コンクールでの出来事をお伝えします。

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前回の聞き手との共通認識についてに関連して、1月の吉野弘朗読コンクールでの出来事をお話しします。

審査結果発表で、私は壇上で「ぼーっ」としていたのですが、表彰を受けた後、もう一度読むことになっていました。ですので、気持ちを落ち着かせて、読みに集中する必要がありました。そうして、もう一度「愛を人々の上に」を読んだのです。緊張しつつも、無事に読み終えました。

そして、表彰式が終わろうというときに・・・
「では、会場にいらした山田太一さんから一言お願いしたいと思います・・」
というアナウンスがあったのです。
脚本家の山田太一さんは、このコンクールのイベントの一つとして、講演にいらしていました。朗読コンクールの審査の時には聞いておられなかったのですが、ご自身の講演後、その優勝者の朗読を客席で聞いておられたのです。

とことこと客席から壇上に上がった山田さん。
山田さんから、私の朗読の講評をいただくことになりました。

「いやー、大人の人の朗読は良かったんですけど・・」
と始まりまして、そこから、ダメ出しをいただくことになりました。
それは、「愛」という言葉を軽々しく語るものではないということでした。
壇上で聞いていたので、もしかすると、正しく聞けていなかったかもしれませんが、私が受け取った内容を記しますと・・

愛ということばは、そんなに仰々しく語るものではない。
「愛しましょう、愛し合いましょう」みたいなことを、一般の人は言わない。
言ったとしても、照れや恥じらいがあるものだ。
この詩で言う「愛」は、巷の恋愛みたいなことではなくて、「人類愛」みたいなものであると吉野さんは考えていたのだろう。あなた(私のこと)は、わかっているようだけど、一般の人は、そうは受け取らない。そういうところの読みを工夫してください。

そんなようなことを言われました。

これこそ、朗読で言えば、聞き手を考えなさいということでしょう。
山田さんは、脚本家。視聴者に分かるように作品を作るのが仕事。独りよがりの考えで、作るものではない。たぶん、自分の書いた台本を役者が演じて、視聴者はどのように考えるだろうか、思うだろうかということをいつも考えているんでしょう。
その山田さんが、私の朗読について、少し違和感を感じたのだと思います。
そんなに仰々しく「愛」なんて語っていたって、一般視聴者は振り向いてはくれないという感じ?かな。

確かに普段の生活では、「愛してます」なんてめったに言わない。そんな軽々しい言葉じゃない。
「愛」なんて言葉を書いたりすることもない。
「愛だ、愛だ」と叫んでみたって、人の心には響いてこない。

愛ということばは慎重に使わなければならない。
ドラマでも、簡単に「愛している」なんて言葉を役者に言わせないのでしょう。
台本にそんなことが書くなんて、すぐさまNGなんだろうな。
言わずとも、「愛」が伝わるような脚本を作るのでしょう。
数多くの恋愛ドラマを書いてきた方だからこそ、「愛」ということばに敏感なのだと思います。

本当の意味では伝わってないよ。私には、ごまかしは効かないよ。

なるほどと思いつつ・・、では、どうやって読めばよかったのか。
だって、詩の中に「愛」って言葉が入っているんだから・・
今の私にはよくわからない。深いなー。教えてほしいなー。

という貴重なメッセージをいただいたのでした。
まだまだ私の朗読は未完成。
私に次の課題が渡されたのだと思っています。

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